聖書 — 口語訳 (1955)
ローマ人への手紙 13
概要
ローマ人への手紙13章で、パウロは新しいいのちを三つの具体的な領域に当てはめます。まず権威です。権威は善を報い悪を罰するために立てられているので、従うようにと求めます。次に隣人への愛です。これは払い終えることのない唯一の借りであり、愛する者は律法を全うします。最後に、救いが近づいているのだから眠りからさめ、主イエス・キリストを着るようにと呼びかけます。権威についての箇所は、時代によって大きく異なる読み方をされてきました。その限界については、キリスト者の間でも議論があります。
この章の3つの区分
1すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。
2したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。
3いったい、支配者たちは、善事をする者には恐怖でなく、悪事をする者にこそ恐怖である。あなたは権威を恐れないことを願うのか。それでは、善事をするがよい。そうすれば、彼からほめられるであろう。
4彼は、あなたに益を与えるための神の僕なのである。しかし、もしあなたが悪事をすれば、恐れなければならない。彼はいたずらに剣を帯びているのではない。彼は神の僕であって、悪事を行う者に対しては、怒りをもって報いるからである。
5だから、ただ怒りをのがれるためだけではなく、良心のためにも従うべきである。
6あなたがたが貢を納めるのも、また同じ理由からである。彼らは神に仕える者として、もっぱらこの務に携わっているのである。
7あなたがたは、彼らすべてに対して、義務を果しなさい。すなわち、貢を納むべき者には貢を納め、税を納むべき者には税を納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい。
8互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない。人を愛する者は、律法を全うするのである。
9「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな戒めがあっても、結局「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」というこの言葉に帰する。
10愛は隣り人に害を加えることはない。だから、愛は律法を完成するものである。
11なお、あなたがたは時を知っているのだから、特に、この事を励まねばならない。すなわち、あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでにきている。なぜなら今は、わたしたちの救が、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。
12夜はふけ、日が近づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを捨てて、光の武具を着けようではないか。
13そして、宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみを捨てて、昼歩くように、つつましく歩こうではないか。
14あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。
鍵となる聖句
すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。
パウロは原則を示します。権威は、神がそれを許されたから存在するのです。権力が神のみこころに反することを命じる場合など、その限界についてはキリスト者の間で議論があります。新約聖書の他の箇所、特に使徒行伝5章29節は、この節をそのような均衡をもって読むよう促しています。
あなたがたは、彼らすべてに対して、義務を果しなさい。すなわち、貢を納むべき者には貢を納め、税を納むべき者には税を納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい。
すべての人に義務を果たすこと、つまり税、敬意、尊敬です。パウロは、市民としての誠実さを信仰を生きる具体的な方法としています。これは、カイザルへの貢についてのイエスの教えを受け継いでいます。
互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない。人を愛する者は、律法を全うするのである。
信じる者が永久に負う借りは、愛だけです。それは完全に払い終えることがなく、パウロは、人を愛する者は律法を全うすると述べます。愛は戒めを要約するものなのです。
なお、あなたがたは時を知っているのだから、特に、この事を励まねばならない。すなわち、あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでにきている。なぜなら今は、わたしたちの救が、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。
目覚めの節です。眠りからさめるべき時がすでにきている。パウロは恐れさせようとしているのではなく、無関心を揺り動かそうとしています。救いは、初め信じた時よりも近づいているからです。キリストの再臨を待つ思いとよく響き合います。
あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。
やみのわざを捨てるよう求めたあと、パウロは主イエス・キリストを着なさいと言います。生き方の変化は、まず自分を律しようとする意志から生まれるのではなく、キリストと一つになることから生まれます。
説教が語っていること
ローマ人への手紙13章についてよくある質問
ローマ人への手紙13章1節の、権威に従いなさいとはどういう意味ですか
パウロはローマのキリスト者に、市民としての権威を尊重するよう求めます。社会の秩序は共通の益に仕えるものであり、神が権威を許しておられるからです。その限界については、キリスト者の間でも意見が一致していません。多くの人は、命令が神のみこころに反するときには、使徒行伝5章29節で使徒たちが言うように、人に従うよりも神に従うべきだと指摘します。
「互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない」とはどういう意味ですか
8節でパウロは、借りは返し、何も宙に浮いたままにしないよう勧めますが、一つだけ例外があります。愛は、返し終えることのない借りだということです。さらにパウロは、愛が戒めを要約すると述べます。隣人を愛する者は、その人に害を加えないからです。
眠りからさめるべき時がきているとはどういう意味ですか
11節で、眠りは、神がなさっていることに無関心な、鈍くなった霊的生活を表しています。パウロは、救いが近づき夜がふけていることを思い起こさせ、昼間に、光の中で生きるよう求めます。この箇所が促しているのは目をさましていることであり、恐れではありません。
ローマ人への手紙 13を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。