聖書 — 口語訳 (1955)

出エジプト記 32

概要

出エジプト記32章は、荒野でのイスラエルの最も重い罪を記します。モーセが山にいる間に、民はアロンに神を造るよう求め、金の子牛が鋳られます。神は民を滅ぼそうとされますが、モーセはとりなします。山を下りると、彼は板を砕き、子牛を焼き、アロンと向き合います。人々が倒れたのち、モーセはふたたび主のもとへ上り、赦しを願います。この章は、偶像礼拝の重大さと、とりなす者の役割を示しています。

この章の5つの区分

  1. 1-6節民が神を求め、アロンが金の子牛を造る
  2. 7-14節神の怒りとモーセのとりなし
  3. 15-24節砕かれた板と焼かれた子牛
  4. 25-29節民が秩序に戻される:モーセとともにレビの子たち
  5. 30-35節モーセがふたたび上り、赦しを願う

1民はモーセが山を下ることのおそいのを見て、アロンのもとに集まって彼に言った、「さあ、わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセはどうなったのかわからないからです」。

2アロンは彼らに言った、「あなたがたの妻、むすこ、娘らの金の耳輪をはずしてわたしに持ってきなさい」。

3そこで民は皆その金の耳輪をはずしてアロンのもとに持ってきた。

4アロンがこれを彼らの手から受け取り、工具で型を造り、鋳て子牛としたので、彼らは言った、「イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である」。

5アロンはこれを見て、その前に祭壇を築いた。そしてアロンは布告して言った、「あすは主の祭である」。

6そこで人々はあくる朝早く起きて燔祭をささげ、酬恩祭を供えた。民は座して食い飲みし、立って戯れた。

7主はモーセに言われた、「急いで下りなさい。あなたがエジプトの国から導きのぼったあなたの民は悪いことをした。

8彼らは早くもわたしが命じた道を離れ、自分のために鋳物の子牛を造り、これを拝み、これに犠牲をささげて、『イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である』と言っている」。

9主はまたモーセに言われた、「わたしはこの民を見た。これはかたくなな民である。

10それで、わたしをとめるな。わたしの怒りは彼らにむかって燃え、彼らを滅ぼしつくすであろう。しかし、わたしはあなたを大いなる国民とするであろう」。

11モーセはその神、主をなだめて言った、「主よ、大いなる力と強き手をもって、エジプトの国から導き出されたあなたの民にむかって、なぜあなたの怒りが燃えるのでしょうか。

12どうしてエジプトびとに『彼は悪意をもって彼らを導き出し、彼らを山地で殺し、地の面から断ち滅ぼすのだ』と言わせてよいでしょうか。どうかあなたの激しい怒りをやめ、あなたの民に下そうとされるこの災を思い直し、

13あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが御自身をさして誓い、『わたしは天の星のように、あなたがたの子孫を増し、わたしが約束したこの地を皆あなたがたの子孫に与えて、長くこれを所有させるであろう』と彼らに仰せられたことを覚えてください」。

14それで、主はその民に下すと言われた災について思い直された。

15モーセは身を転じて山を下った。彼の手には、かの二枚のあかしの板があった。板はその両面に文字があった。すなわち、この面にも、かの面にも文字があった。

16その板は神の作、その文字は神の文字であって、板に彫ったものである。

17ヨシュアは民の呼ばわる声を聞いて、モーセに言った、「宿営の中に戦いの声がします」。

18しかし、モーセは言った、「勝どきの声でなく、敗北の叫び声でもない。わたしの聞くのは歌の声である」。

19モーセが宿営に近づくと、子牛と踊りとを見たので、彼は怒りに燃え、手からかの板を投げうち、これを山のふもとで砕いた。

20また彼らが造った子牛を取って火に焼き、こなごなに砕き、これを水の上にまいて、イスラエルの人々に飲ませた。

21モーセはアロンに言った、「この民があなたに何をしたので、あなたは彼らに大いなる罪を犯させたのですか」。

22アロンは言った、「わが主よ、激しく怒らないでください。この民の悪いのは、あなたがごぞんじです。

23彼らはわたしに言いました、『わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセは、どうなったのかわからないからです』。

24そこでわたしは『だれでも、金を持っている者は、それを取りはずしなさい』と彼らに言いました。彼らがそれをわたしに渡したので、わたしがこれを火に投げ入れると、この子牛が出てきたのです」。

25モーセは民がほしいままにふるまったのを見た。アロンは彼らがほしいままにふるまうに任せ、敵の中に物笑いとなったからである。

26モーセは宿営の門に立って言った、「すべて主につく者はわたしのもとにきなさい」。レビの子たちはみな彼のもとに集まった。

27そこでモーセは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『あなたがたは、おのおの腰につるぎを帯び、宿営の中を門から門へ行き巡って、おのおのその兄弟、その友、その隣人を殺せ』」。

28レビの子たちはモーセの言葉どおりにしたので、その日、民のうち、おおよそ三千人が倒れた。

29そこで、モーセは言った、「あなたがたは、おのおのその子、その兄弟に逆らって、きょう、主に身をささげた。それで主は、きょう、あなたがたに祝福を与えられるであろう」。

30あくる日、モーセは民に言った、「あなたがたは大いなる罪を犯した。それで今、わたしは主のもとに上って行く。あなたがたの罪を償うことが、できるかも知れない」。

31モーセは主のもとに帰って、そして言った、「ああ、この民は大いなる罪を犯し、自分のために金の神を造りました。

32今もしあなたが、彼らの罪をゆるされますならば――。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが書きしるされたふみから、わたしの名を消し去ってください」。

33主はモーセに言われた、「すべてわたしに罪を犯した者は、これをわたしのふみから消し去るであろう。

34しかし、今あなたは行って、わたしがあなたに告げたところに民を導きなさい。見よ、わたしの使はあなたに先立って行くであろう。ただし刑罰の日に、わたしは彼らの罪を罰するであろう」。

35そして主は民を撃たれた。彼らが子牛を造ったからである。それはアロンが造ったのである。

鍵となる聖句

1節
民はモーセが山を下ることのおそいのを見て、アロンのもとに集まって彼に言った、「さあ、わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセはどうなったのかわからないからです」。

民はモーセの不在にしびれを切らし、目に見える神を求めます。偶像礼拝は、見えないものを自分の手で支配し、目で見たいという思いから始まることが多いのです。

4節
アロンがこれを彼らの手から受け取り、工具で型を造り、鋳て子牛としたので、彼らは言った、「イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である」。

アロンは民の手から受け取った金で子牛を造り、エジプトからの救い出しは、その子牛によるものとされます。民は、神がなさったことを、造られたものに帰して拝んだのです。

11-13節
モーセはその神、主をなだめて言った、「主よ、大いなる力と強き手をもって、エジプトの国から導き出されたあなたの民にむかって、なぜあなたの怒りが燃えるのでしょうか。 どうしてエジプトびとに『彼は悪意をもって彼らを導き出し、彼らを山地で殺し、地の面から断ち滅ぼすのだ』と言わせてよいでしょうか。どうかあなたの激しい怒りをやめ、あなたの民に下そうとされるこの災を思い直し、 あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが御自身をさして誓い、『わたしは天の星のように、あなたがたの子孫を増し、わたしが約束したこの地を皆あなたがたの子孫に与えて、長くこれを所有させるであろう』と彼らに仰せられたことを覚えてください」。

モーセは、神の力と、アブラハム、イサク、イスラエルへの約束を思い起こさせて、民のために訴えます。罪を軽く見ることなく、神の真実に拠りどころを置きます。

32節
今もしあなたが、彼らの罪をゆるされますならば――。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが書きしるされたふみから、わたしの名を消し去ってください」。

モーセは赦しを願い、民のかわりに、神がしるされたふみから自分の名が消されてもよいと言います。このとりなす者の愛は、しばしばキリストの愛と重ね合わされます。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

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出エジプト記32章についてよくある質問

なぜ民は金の子牛を造るのですか

モーセが山からなかなか下りてこないので、民はしびれを切らします。そしてアロンに、自分たちの前を行く神を求めます。アロンは耳輪の金を集め、子牛を鋳ます。この記事は、目に見える安心を求める思いと、神を自分が支配できるものにしてしまう誘惑を示しています。

出エジプト記32章14節で、神は考えを変えられるのですか

この節は、主が民に下すと言われた災について思い直されたと語ります。キリスト教の伝統は、これをさまざまに説明します。多くの人は、神が約束に真実であるために、その本質は変わることなく、モーセのとりなしに本当に応えられたのだと理解しています。大切なのは、モーセの祈りが聞き入れられたことです。

なぜモーセは律法の板を砕くのですか

子牛と踊りを見て、モーセは怒りに燃え、板を投げうちます。板は山のふもとで砕けます。この行動は、民によって契約がたった今破られたことを表しています。のちに神は板を新しくされ、神の赦しが今もありうることを示します。

出エジプト記32章は、今日のわたしたちに何を語りますか

この章は偶像礼拝、すなわち、よい贈り物であっても、神の座を奪うあらゆるものについて警告します。また、他の人々のために訴えるとりなす者の役割も示します。キリスト者はそこに、離れていく者のために祈られるイエスの予告を見いだします。

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