聖書 — 口語訳 (1955)
創世記 4
概要
創世記4章は、堕落のあとに起こったことを語ります。罪はいまや家族にまで及びます。カインとアベルはそれぞれ供え物を持ってきますが、神はアベルの供え物を顧み、カインのは顧みられず、カインは憤ります。神は罪が門口に待ち伏せていると警告しますが、カインは弟を殺します。神はカインと向き合い、さすらいの身とされますが、同時に守ってもくださいます。続いて、章はカインの子孫、文明の始まりとレメクの暴力をたどり、セツの誕生で終わります。セツのころから、人々は再び主の名を呼び始めます。
この章の4つの区分
1人はその妻エバを知った。彼女はみごもり、カインを産んで言った、「わたしは主によって、ひとりの人を得た」。
2彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。
3日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。
4アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。
5しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。
6そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。
7正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。
8カインは弟アベルに言った、「さあ、野原へ行こう」。彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに立ちかかって、これを殺した。
9主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。わたしが弟の番人でしょうか」。
10主は言われた、「あなたは何をしたのです。あなたの弟の血の声が土の中からわたしに叫んでいます。
11今あなたはのろわれてこの土地を離れなければなりません。この土地が口をあけて、あなたの手から弟の血を受けたからです。
12あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」。
13カインは主に言った、「わたしの罰は重くて負いきれません。
14あなたは、きょう、わたしを地のおもてから追放されました。わたしはあなたを離れて、地上の放浪者とならねばなりません。わたしを見付ける人はだれでもわたしを殺すでしょう」。
15主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。
16カインは主の前を去って、エデンの東、ノドの地に住んだ。
17カインはその妻を知った。彼女はみごもってエノクを産んだ。カインは町を建て、その町の名をその子の名にしたがって、エノクと名づけた。
18エノクにはイラデが生れた。イラデの子はメホヤエル、メホヤエルの子はメトサエル、メトサエルの子はレメクである。
19レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダといい、ひとりの名はチラといった。
20アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住んで、家畜を飼う者の先祖となった。
21その弟の名はユバルといった。彼は琴や笛を執るすべての者の先祖となった。
22チラもまたトバルカインを産んだ。彼は青銅や鉄のすべての刃物を鍛える者となった。トバルカインの妹をナアマといった。
23レメクはその妻たちに言った、「アダとチラよ、わたしの声を聞け、レメクの妻たちよ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしは受ける傷のために、人を殺し、受ける打ち傷のために、わたしは若者を殺す。
24カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍」。
25アダムはまたその妻を知った。彼女は男の子を産み、その名をセツと名づけて言った、「カインがアベルを殺したので、神はアベルの代りに、ひとりの子をわたしに授けられました」。
26セツにもまた男の子が生れた。彼はその名をエノスと名づけた。この時、人々は主の名を呼び始めた。
鍵となる聖句
アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。 しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。
本文は、主がまずアベルを、次にその供え物を顧みられたと述べます。いくつかの説教は、持ってくるものよりも先に、持ってくる人の心が大切だと見ています。この箇所は、カインの供え物に何が足りなかったのかを詳しく述べてはいません。
正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。
神は悲劇の前にカインに語りかけます。罪は戸口に伏して飛びかかろうとする獣にたとえられていますが、それでもカインはそれを治めることができます。神は、悪が行われる前に警告し、道を開いておられます。
主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。わたしが弟の番人でしょうか」。
カインの答え「わたしが弟の番人でしょうか」は、ことわざのようになりました。この言葉は神の問いをかわしていますが、神はカインに自分のしたことを認めさせようとしておられます。
主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。
殺人のあとでさえ、神はだれもカインを殺さないように、彼にしるしをつけられます。これは罪の是認ではなく、罪を犯した人に対してさえ、神がそこにとどまってくださることのしるしです。
セツにもまた男の子が生れた。彼はその名をエノスと名づけた。この時、人々は主の名を呼び始めた。
暴力のあとに、別の系統が現れます。エノスのころ、人々は主の名を呼び始めました。章は祈りで終わります。神がご自分のわざを進めておられるしるしのようです。
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
創世記4章についてよくある質問
なぜ神はカインの供え物を顧みられなかったのですか
本文ははっきりとは述べていません。神がアベルとその供え物を顧み、カインとその供え物は顧みられなかった、と書かれているだけです。説教者たちの読みは重なります。アベルは群れのういごという最良のものを、神を求める心でささげましたが、カインは同じ位置づけでささげていないように見える、というものです。神はカインに、正しい事をすれば顔をあげられると語っておられます。
「わたしが弟の番人でしょうか」とはどういう意味ですか
神がアベルはどこかと尋ねたときの、カインの答えです。カインは知らないふりをして、一切の責任を否定します。神は言葉ではなく、行いでお答えになります。アベルの血の声を聞き、カインに責任を問われるのです。本文は、私たちが兄弟姉妹の世話をするよう確かに召されていることを示唆しています。
カインのしるしとは何ですか
さすらいの身とされたあと、カインは殺されることを恐れます。神はだれも彼を打たないように、彼にしるしをつけられました。聖書はそのしるしがどんなものかを述べていません。それはさらなる呪いではなく、弟を殺した人にさえ神が与えられた守りです。
創世記4章の中心的なメッセージは何ですか
治めなければ罪は大きくなります。ねたみから暴力が生まれ、亀裂は家族にまで及びます。しかし神はまず語りかけ、警告し、問いかけ、守り、そしてセツによって、人々が再び主の名を呼び始めるとき、希望を再び芽生えさせてくださいます。
創世記 4を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。