聖書 — 口語訳 (1955)

列王紀上 18

概要

三年続いた干ばつのあと、エリヤはアハブの前に現れ、民をカルメル山に集めます。バアルの預言者たちは朝から叫びますが、何の答えもなく一日が過ぎます。エリヤは主の祭壇を築き直して祈ります。すると天から火が下り、民は主こそ神であると認めます。エリヤはその後、カルメルの頂に上って祈り、人の手ほどの小さな雲が、干ばつの終わりを告げます。

この章の4つの区分

  1. 1-19節エリヤ、オバデヤ、アハブ:飢饉と挑戦
  2. 20-29節民は選ばなければならない:バアルは沈黙したまま
  3. 30-40節築き直された祭壇、天からの火、民の告白
  4. 41-46節雨を求める祈り:海から小さな雲が上る

1多くの日を経て、三年目に主の言葉がエリヤに臨んだ、「行って、あなたの身をアハブに示しなさい。わたしは雨を地に降らせる」。

2エリヤはその身をアハブに示そうとして行った。その時、サマリヤにききんが激しかった。

3アハブは家づかさオバデヤを召した。(オバデヤは深く主を恐れる人で、

4イゼベルが主の預言者を断ち滅ぼした時、オバデヤは百人の預言者を救い出して五十人ずつほら穴に隠し、パンと水をもって彼らを養った)。

5アハブはオバデヤに言った、「国中のすべての水の源と、すべての川に行ってみるがよい。馬と騾馬を生かしておくための草があるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜をいくぶんでも失わずにすむであろう」。

6彼らは行き巡る地をふたりで分け、アハブはひとりでこの道を行き、オバデヤはひとりで他の道を行った。

7オバデヤが道を進んでいた時、エリヤが彼に会った。彼はエリヤを認めて伏して言った、「わが主エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。

8エリヤは彼に言った、「そうです。行って、あなたの主人に、エリヤはここにいると告げなさい」。

9彼は言った、「わたしにどんな罪があって、あなたはしもべをアハブの手にわたして殺そうとされるのですか。

10あなたの神、主は生きておられます。わたしの主人があなたを尋ねるために、人をつかわさない民はなく、国もありません。そしてエリヤはいないと言う時は、その国、その民に、あなたが見つからないという誓いをさせるのです。

11あなたは今『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。

12しかしわたしがあなたを離れて行くと、主の霊はあなたを、わたしの知らない所へ連れて行くでしょう。わたしが行ってアハブに告げ、彼があなたを見つけることができなければ、彼はわたしを殺すでしょう。しかし、しもべは幼い時から主を恐れている者です。

13イゼベルが主の預言者を殺した時に、わたしがした事、すなわち、わたしが主の預言者のうち百人を五十人ずつほら穴に隠して、パンと水をもって養った事を、わが主は聞かれませんでしたか。

14ところが今あなたは『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。そのようなことをすれば彼はわたしを殺すでしょう」。

15エリヤは言った、「わたしの仕える万軍の主は生きておられる。わたしは必ず、きょう、わたしの身を彼に示すであろう」。

16オバデヤは行ってアハブに会い、彼に告げたので、アハブはエリヤに会おうとして行った。

17アハブはエリヤを見たとき、彼に言った、「イスラエルを悩ます者よ、あなたはここにいるのですか」。

18彼は答えた、「わたしがイスラエルを悩ますのではありません。あなたと、あなたの父の家が悩ましたのです。あなたがたが主の命令を捨て、バアルに従ったためです。

19それで今、人をつかわしてイスラエルのすべての人およびバアルの預言者四百五十人、ならびにアシラの預言者四百人、イゼベルの食卓で食事する者たちをカルメル山に集めて、わたしの所にこさせなさい」。

20そこでアハブはイスラエルのすべての人に人をつかわして、預言者たちをカルメル山に集めた。

21そのときエリヤはすべての民に近づいて言った、「あなたがたはいつまで二つのものの間に迷っているのですか。主が神ならばそれに従いなさい。しかしバアルが神ならば、それに従いなさい」。民はひと言も彼に答えなかった。

22エリヤは民に言った、「わたしはただひとり残った主の預言者です。しかしバアルの預言者は四百五十人あります。

23われわれに二頭の牛をください。そして一頭の牛を彼らに選ばせ、それを切り裂いて、たきぎの上に載せ、それに火をつけずにおかせなさい。わたしも一頭の牛を整え、それをたきぎの上に載せて火をつけずにおきましょう。

24こうしてあなたがたはあなたがたの神の名を呼びなさい。わたしは主の名を呼びましょう。そして火をもって答える神を神としましょう」。民は皆答えて「それがよかろう」と言った。

25そこでエリヤはバアルの預言者たちに言った、「あなたがたは大ぜいだから初めに一頭の牛を選んで、それを整え、あなたがたの神の名を呼びなさい。ただし火をつけてはなりません」。

26彼らは与えられた牛を取って整え、朝から昼までバアルの名を呼んで「バアルよ、答えてください」と言った。しかしなんの声もなく、また答える者もなかったので、彼らは自分たちの造った祭壇のまわりに踊った。

27昼になってエリヤは彼らをあざけって言った、「彼は神だから、大声をあげて呼びなさい。彼は考えにふけっているのか、よそへ行ったのか、旅に出たのか、または眠っていて起されなければならないのか」。

28そこで彼らは大声に呼ばわり、彼らのならわしに従って、刀とやりで身を傷つけ、血をその身に流すに至った。

29こうして昼が過ぎても彼らはなお叫び続けて、夕の供え物をささげる時にまで及んだ。しかしなんの声もなく、答える者もなく、また顧みる者もなかった。

30その時エリヤはすべての民にむかって「わたしに近寄りなさい」と言ったので、民は皆彼に近寄った。彼はこわれている主の祭壇を繕った。

31そしてエリヤは昔、主の言葉がヤコブに臨んで、「イスラエルをあなたの名とせよ」と言われたヤコブの子らの部族の数にしたがって十二の石を取り、

32その石で主の名によって祭壇を築き、祭壇の周囲に種二セヤをいれるほどの大きさの、みぞを作った。

33また、たきぎを並べ、牛を切り裂いてたきぎの上に載せて言った、「四つのかめに水を満たし、それを燔祭とたきぎの上に注げ」。

34また言った、「それを二度せよ」。二度それをすると、また言った、「三度それをせよ」。三度それをした。

35水は祭壇の周囲に流れた。またみぞにも水を満たした。

36夕の供え物をささげる時になって、預言者エリヤは近寄って言った、「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主よ、イスラエルでは、あなたが神であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉に従ってこのすべての事を行ったことを、今日知らせてください。

37主よ、わたしに答えてください、わたしに答えてください。主よ、この民にあなたが神であること、またあなたが彼らの心を翻されたのであることを知らせてください」。

38そのとき主の火が下って燔祭と、たきぎと、石と、ちりとを焼きつくし、またみぞの水をなめつくした。

39民は皆見て、ひれ伏して言った、「主が神である。主が神である」。

40エリヤは彼らに言った、「バアルの預言者を捕えよ。そのひとりも逃がしてはならない」。そこで彼らを捕えたので、エリヤは彼らをキション川に連れくだって、そこで彼らを殺した。

41エリヤはアハブに言った、「大雨の音がするから、上って行って、食い飲みしなさい」。

42アハブは食い飲みするために上っていった。しかしエリヤはカルメルの頂に登り、地に伏して顔をひざの間に入れていたが、

43彼はしもべに言った、「上っていって海の方を見なさい」。彼は上っていって、見て、「何もありません」と言ったので、エリヤは「もう一度行きなさい」と言って七度に及んだ。

44七度目にしもべは言った、「海から人の手ほどの小さな雲が起っています」。エリヤは言った、「上っていって、『雨にとどめられないように車を整えて下れ』とアハブに言いなさい」。

45すると間もなく、雲と風が起り、空が黒くなって大雨が降ってきた。アハブは車に乗ってエズレルへ行った。

46また主の手がエリヤに臨んだので、彼は腰をからげ、エズレルの入口までアハブの前に走っていった。

鍵となる聖句

21節
そのときエリヤはすべての民に近づいて言った、「あなたがたはいつまで二つのものの間に迷っているのですか。主が神ならばそれに従いなさい。しかしバアルが神ならば、それに従いなさい」。民はひと言も彼に答えなかった。

エリヤは、民に「あなたがたはいつまで二つのものの間に迷っているのですか」と問います。イスラエルの問題は無神論ではなく、混ぜ合わせることでした。主に仕えながら、バアルも手放さないことです。エリヤは、はっきりした選択を求めます。

30-32節
その時エリヤはすべての民にむかって「わたしに近寄りなさい」と言ったので、民は皆彼に近寄った。彼はこわれている主の祭壇を繕った。 そしてエリヤは昔、主の言葉がヤコブに臨んで、「イスラエルをあなたの名とせよ」と言われたヤコブの子らの部族の数にしたがって十二の石を取り、 その石で主の名によって祭壇を築き、祭壇の周囲に種二セヤをいれるほどの大きさの、みぞを作った。

火を求める前に、エリヤは倒されていた主の祭壇を築き直し、十二の部族に合わせて十二の石を用います。この行いは、神への立ち帰りが、捨てられたものの回復を通して行われることを語っています。

36-37節
夕の供え物をささげる時になって、預言者エリヤは近寄って言った、「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主よ、イスラエルでは、あなたが神であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉に従ってこのすべての事を行ったことを、今日知らせてください。 主よ、わたしに答えてください、わたしに答えてください。主よ、この民にあなたが神であること、またあなたが彼らの心を翻されたのであることを知らせてください」。

エリヤの祈りは短く、飾り気がありません。彼は神の言葉と契約に立ち、民が、人々の心を翻されるのは主であると知るよう願います。そこに、自分の栄光を求める思いはありません。

41-44節
エリヤはアハブに言った、「大雨の音がするから、上って行って、食い飲みしなさい」。 アハブは食い飲みするために上っていった。しかしエリヤはカルメルの頂に登り、地に伏して顔をひざの間に入れていたが、 彼はしもべに言った、「上っていって海の方を見なさい」。彼は上っていって、見て、「何もありません」と言ったので、エリヤは「もう一度行きなさい」と言って七度に及んだ。 七度目にしもべは言った、「海から人の手ほどの小さな雲が起っています」。エリヤは言った、「上っていって、『雨にとどめられないように車を整えて下れ』とアハブに言いなさい」。

エリヤは、雲が一つも見えないうちに雨を告げ、しもべが七度目に小さな雲を見るまで祈り続けます。この箇所は、祈りの粘り強さと、見る前に信頼することの姿として、よく読まれます。

この章に登場する人物

説教が語っていること

大雨の音がするセレスタン・ヤオは41節から46節に立ち止まります。エリヤは、雨のしるしを目にする前に、その音を聞きます。状況が変わる前に、信仰は神の声に耳を傾けるのだと語ります。要約を読む →いつまで二つの間で迷うのか:その松葉杖を手放そうマット・マルヴァヌは、21節の問いから妥協について語ります。神と世を同時に愛することはできません。アハブとイゼベルの背景を思い起こさせ、今日、選ぶようにと呼びかけます。要約を読む →壊れた祭壇を築き直す:信仰の三つの決断荻野松牧師は、エリヤが火が下る前にまず祭壇を築き直したことに注目します。そこに三つの決断を見ます。礼拝を回復すること、神を素直に信じること、神の言葉にしたがって祈ることです。要約を読む →答えられない祈り、5つの壁を越えるにはステファヌ・ビュルゴスは、36節から39節のエリヤの祈りを学び、神の契約に立つことを含む五つの原則を引き出します。祈りを大きな声にするものではなく、祈りを力あるものにするものは何かを問います。要約を読む →エリヤの燃える祈り:欲望に流されずに祈るための三つの鍵マット・マルヴァヌは、列王紀上18章とヤコブの手紙4章を結び、祈りと欲望とを区別します。所有したいという願いではなく、神の栄光を中心としたエリヤの祈りから、三つの鍵を示します。要約を読む →打ちのめされたエリヤ:神はあなたのためにパンを備えられるカルメルでの勝利のあと、エリヤはイゼベルの一言の脅しから逃げます。このメッセージは、頂のすぐあとに崩れ落ちることもあること、そして神が疲れ果てたしもべを世話しに来てくださることを示します。要約を読む →

列王紀上18章についてよくある質問

列王紀上18章21節の「二つのものの間に迷う」とはどういう意味ですか

エリヤは、民が主とバアルの間でためらっていることを、片方に傾いては別の方へ揺れて、足を引きずる人にたとえて責めます。イスラエルの人々は、自分たちの神を公然と捨てたのではなく、ほかの礼拝と混ぜ合わせようとしていました。エリヤは、主が神ならば従うようにと、はっきりした選択を求めます。多くの説教者が、この問いを今日の妥協に当てはめます。

エリヤはなぜ祭壇に水を注がせたのですか

エリヤは、薪といけにえの上に三度水を注がせ、祭壇のまわりに掘った溝がいっぱいになるほどにしました。これで、誰も策略を疑うことはできません。火が下るなら、それは神からしか来ないのです。この行いは、神の答えをいっそうはっきりと見えるものにします。

列王紀上18章の中心的なメッセージは何ですか

神だけが真の神であり、神の言葉にしたがって呼び求める人に答えてくださいます。この章は、主とバアルの間の明確な選択を民に迫り、火と雨で答える神の忠実さを示します。また、雲を見る前に七度祈るエリヤの粘り強さも描いています。

列王紀上18章44節の小さな雲は何を表していますか

それは、干ばつの終わりを示す最初の目に見えるしるしです。海から上る、人の手ほどの雲でした。キリスト教の伝統では、それは望みの姿として、また小さなしるしの中にも神の約束の始まりを見る信頼の姿として、よく理解されます。

列王紀上 18を引用している記事

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口語訳(1955年)— パブリックドメイン。