聖書 — 口語訳 (1955)
出エジプト記 19
概要
出エジプト記19章は、エジプトを出て三か月後、イスラエルがシナイ山のふもとに着いた場面を記します。神は、民のためになさったことを思い起こさせたうえで、契約を提示されます。神の宝となり、祭司の国、聖なる民となることです。民はそれを約束して身を整え、神は火と煙とラッパの音の中で山に下られます。この章は、先立って与えられる神の恵みと、軽々しく近づくことのできない聖さの両方を示しています。
この章の4つの区分
1イスラエルの人々は、エジプトの地を出て後三月目のその日に、シナイの荒野にはいった。
2すなわち彼らはレピデムを出立してシナイの荒野に入り、荒野に宿営した。イスラエルはその所で山の前に宿営した。
3さて、モーセが神のもとに登ると、主は山から彼を呼んで言われた、「このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げなさい、
4『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。
5それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。
6あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』。これがあなたのイスラエルの人々に語るべき言葉である」。
7それでモーセは行って民の長老たちを呼び、主が命じられたこれらの言葉を、すべてその前に述べたので、
8民はみな共に答えて言った、「われわれは主が言われたことを、みな行います」。モーセは民の言葉を主に告げた。
9主はモーセに言われた、「見よ、わたしは濃い雲のうちにあって、あなたに臨むであろう。それはわたしがあなたと語るのを民に聞かせて、彼らに長くあなたを信じさせるためである」。モーセは民の言葉を主に告げた。
10主はモーセに言われた、「あなたは民のところに行って、きょうとあす、彼らをきよめ、彼らにその衣服を洗わせ、
11三日目までに備えさせなさい。三日目に主が、すべての民の目の前で、シナイ山に下るからである。
12あなたは民のために、周囲に境を設けて言いなさい、『あなたがたは注意して、山に上らず、また、その境界に触れないようにしなさい。山に触れる者は必ず殺されるであろう。
13手をそれに触れてはならない。触れる者は必ず石で打ち殺されるか、射殺されるであろう。獣でも人でも生きることはできない』。ラッパが長く響いた時、彼らは山に登ることができる」と。
14そこでモーセは山から民のところに下り、民をきよめた。彼らはその衣服を洗った。
15モーセは民に言った、「三日目までに備えをしなさい。女に近づいてはならない」。
16三日目の朝となって、かみなりと、いなずまと厚い雲とが、山の上にあり、ラッパの音が、はなはだ高く響いたので、宿営におる民はみな震えた。
17モーセが民を神に会わせるために、宿営から導き出したので、彼らは山のふもとに立った。
18シナイ山は全山煙った。主が火のなかにあって、その上に下られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山はげしく震えた。
19ラッパの音が、いよいよ高くなったとき、モーセは語り、神は、かみなりをもって、彼に答えられた。
20主はシナイ山の頂に下られた。そして主がモーセを山の頂に召されたので、モーセは登った。
21主はモーセに言われた、「下って行って民を戒めなさい。民が押し破って、主のところにきて、見ようとし、多くのものが死ぬことのないようにするためである。
22主に近づく祭司たちにもまた、その身をきよめさせなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。
23モーセは主に言った、「民はシナイ山に登ることはできないでしょう。あなたがわたしたちを戒めて『山のまわりに境を設け、それをきよめよ』と言われたからです」。
24主は彼に言われた、「行け、下れ。そしてあなたはアロンと共に登ってきなさい。ただし、祭司たちと民とが、押し破って主のところに登ることのないようにしなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。
25モーセは民の所に下って行って彼らに告げた。
鍵となる聖句
『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。
何かを求める前に、神はすでになさったことを思い起こさせます。イスラエルは「鷲の翼に載せて」運ばれたのです。恵みが先にあり、従順はそれへの応答です。
それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。 あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』。これがあなたのイスラエルの人々に語るべき言葉である」。
神はイスラエルを、すべての民の中で神の宝となり、「祭司の国」「聖なる民」となるよう召されます。ペテロは第一の手紙で、この表現を教会について用いています。
民はみな共に答えて言った、「われわれは主が言われたことを、みな行います」。モーセは民の言葉を主に告げた。
民は一つ心になって、主が言われたことをみな行うと誓います。この約束がすぐに試されることを、この書の続きは示しており、恵みの必要を浮かび上がらせます。
三日目の朝となって、かみなりと、いなずまと厚い雲とが、山の上にあり、ラッパの音が、はなはだ高く響いたので、宿営におる民はみな震えた。 モーセが民を神に会わせるために、宿営から導き出したので、彼らは山のふもとに立った。 シナイ山は全山煙った。主が火のなかにあって、その上に下られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山はげしく震えた。
雷、いなずま、ラッパの音、燃える山。神との出会いは圧倒的です。本文は神の威光と聖さを表し、民はその前に震えます。
説教が語っていること
出エジプト記19章についてよくある質問
出エジプト記19章6節の「祭司の国」とはどういう意味ですか。
神は、祭司の家系だけでなく、民全体がご自分に聖別され、諸国民と神との間の橋渡しとなることを望まれます。新約聖書では、ペテロがこの表現を教会に当てはめています。キリスト教の伝統によって理解に少し違いはありますが、聖さとあかしへの召しと見る点は共通しています。
出エジプト記19章の中心的なメッセージは何ですか。
民を解放された神が、今度はその民と契約を結ばれます。神は恵みを思い起こさせ、召しを示し、威光をもってご自身を現されます。この章は、神が先に動いてくださったので確信をもって近づけること、そして同時に、神の聖さの前に畏れをもって近づくべきことを教えています。
なぜ民は山に触れてはならなかったのですか。
神はシナイ山の周りに境を設けられました(12節と23節)。それは、神が聖であり、罪ある人間が備えなしには近づけないことを示すためです。この柵は、越えなければならない隔たりを思い起こさせます。クリスチャンは、その隔たりがイエス・キリストのみわざによって埋められたと見ています。
出エジプト記 19を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。