はじめに
洗礼式にはどの詩篇がふさわしいでしょうか。清めを求める詩篇51篇、新しい命を語る詩篇40篇、教会の前で感謝を表す詩篇116篇が、この日に最も読みやすい詩篇です。このページでは、詩篇を12篇まるごと取り上げ、それぞれの色合いを伝える一節とともに紹介します。赦しと清め、新しい命、教会の前での証し、これからの歩みという四つの場面に分けてあります。気になる詩篇のページを開いて全体を読み、またここに戻って、自分に合うものを選んでください。ご自身の証しを準備している方も、礼拝で読む聖書の箇所を探している方も、水に入る友人のためにカードへ数行を書き添えたい方も、まず一人で声に出して詩篇を読んでから、分かち合ってください。ここで扱うのは信者の洗礼です。キリストのものであることを、人々の前で公に告白する歩みのことです。
赦しと清めの詩篇
1. 詩篇51篇7節
「ヒソプをもって、わたしを清めてください、わたしは清くなるでしょう。わたしを洗ってください、わたしは雪よりも白くなるでしょう。」
この詩篇は、重い過ちを犯したあとのダビデの祈りです。自分を正当化せず、神に洗っていただくこと、清い心を造っていただくことを願っています。赦しが必要だと知っている人の詩篇です。洗礼では、水が清めを表すイメージとよく重なります。前の晩にゆっくり祈り、神の前に置いていくものを一つずつ口にしてから、イエス・キリストにあって赦されていることを感謝してください。 詩篇51篇を全文で読む。
2. 詩篇32篇1-2節
「そのとががゆるされ、その罪がおおい消される者はさいわいである。 主によって不義を負わされず、その霊に偽りのない人はさいわいである。」
ダビデは、告白して赦された安堵を味わったあとで、この詩篇を書きました。出だしは罪悪感ではなく幸いです。そむきを赦された人は、本当に幸いだと歌っています。赦しは無償で受け取るものだと思い出させてくれるので、洗礼を受けた直後の人に最適です。神が何をしてくださるのか、赦し、覆ってくださることに目を留めながら読み、重荷のあとに喜びが来るのを待ってください。 詩篇32篇を全文で読む。
3. 詩篇103篇11-12節
「天が地よりも高いように、主がおのれを恐れる者に賜わるいつくしみは大きい、 東が西から遠いように、主はわれらのとがをわれらから遠ざけられる。」
ダビデが自分の魂に向かって、神のどの恵みも忘れないようにと語りかける賛美の詩篇です。神はあわれみ深く、怒るのに遅く、私たちの罪を東が西から遠いほど遠ざけてくださる方として描かれています。洗礼においては、受けた赦しの広さを語ってくれます。一節ごとに一つの恵みを神に感謝しながら祈り、式の当日は声に出して読んでみてください。 詩篇103篇を全文で読む。
新しい命の詩篇
4. 詩篇40篇2-3節
「主はわたしを滅びの穴から、泥の沼から引きあげて、わたしの足を岩の上におき、わたしの歩みをたしかにされた。 主は新しい歌をわたしの口に授け、われらの神にささげるさんびの歌を わたしの口に授けられた。多くの人はこれを見て恐れ、かつ主に信頼するであろう。」
ダビデは、神が自分を滅びの穴から引きあげ、新しい歌を授けてくださったこと、そしてその歌を多くの人が見聞きしたことを語ります。洗礼の水をくぐる人に起こることも同じです。命が変わり、賛美が生まれます。証しを書くときにこの詩篇を読み、穴、岩、歌という三つの段階を見つけてください。数分で自分の物語を語るための骨組みとして使えます。 詩篇40篇を全文で読む。
5. 詩篇42篇1-2節
「神よ、しかが谷川を慕いあえぐように、わが魂もあなたを慕いあえぐ。 わが魂はかわいているように神を慕い、いける神を慕う。いつ、わたしは行って神のみ顔を 見ることができるだろうか。」
神殿で仕えたコラの子らが、神に渇く魂を歌ったのがこの詩篇です。洗礼に近づく人は、この渇きを知っていることが多く、詩篇はそれを言い表す言葉を貸してくれます。落ち込む時間があることも隠さず、そのあとで神に望みを置くよう自分に語りかけます。神についてもっと知りたいと願うことを具体的に口にして祈り、日々満たしていただけるよう求めてください。 詩篇42篇を全文で読む。
6. 詩篇1篇1-3節
「悪しき者のはかりごとに歩まず、罪びとの道に立たず、あざける者の座にすわらぬ人はさいわいである。 このような人は主のおきてをよろこび、昼も夜もそのおきてを思う。 このような人は流れのほとりに植えられた木の 時が来ると実を結び、その葉もしぼまないように、そのなすところは皆栄える。」
この詩篇は、二つの道を描いて詩篇の書を開きます。主の教えを喜びとし、それを思いめぐらす人は、水の流れのほとりに植えられた木にたとえられています。キリストにある新しい命にふさわしい姿です。洗礼は始まりで、成長はそのあとに来ます。洗礼を受けた方と一緒に読み、毎朝聖書を開くなど、具体的な習慣を一緒に決めてみてください。 詩篇1篇を全文で読む。
教会の前で証しをするための詩篇
7. 詩篇116篇12-14節
「わたしに賜わったもろもろの恵みについて、どうして主に報いることができようか。 わたしは救の杯をあげて、主のみ名を呼ぶ。 わたしはすべての民の前で、主にわが誓いをつぐなおう。」
詩篇の作者は死から救い出され、どのように神に感謝すればよいかと問います。その答えは、杯をあげ、主のみ名を呼び、すべての民の前で誓いをつぐなうことです。まさに公の洗礼の心そのものです。この詩篇は、水に入る前でも後でも、礼拝で読むのにぴったりです。神が自分にしてくださったことを思いながら祈り、そのあと「すべての民の前で、主にわが誓いをつぐなおう」のような簡単な決意を声に出して言ってみてください。 詩篇116篇を全文で読む。
8. 詩篇66篇16節
「すべて神を恐れる者よ、来て聞け。神がわたしのためになされたことを告げよう。」
この節で詩篇の作者は、神を恐れる者たちに、来て、神が自分のためになさったことを聞くよう呼びかけます。これが証しの定義です。自分を前面に出さず、神がなさったことを語ります。教会の前で話すなら、事実を一つ、変化を一つ、感謝を一つに絞る助けになります。話す前に祈り、時間は長くても三分で準備してください。 詩篇66篇を全文で読む。
9. 詩篇34篇3-4節
「わたしと共に主をあがめよ、われらは共にみ名をほめたたえよう。 わたしが主に求めたとき、主はわたしに答え、すべての恐れからわたしを助け出された。」
ダビデは救い出されたあとにこの詩篇を書き、ほかの人々にも一緒に神をほめたたえようと呼びかけます。主に求めたとき、主が答えてくださった、と素朴に語ります。短く、謙遜で、分かち合う賛美で終わる証しの手本です。礼拝の中で数人の声で読み合わせるのに選んでもよいですし、3節と4節をカードに書き写して、洗礼を受ける方に贈ってもよいでしょう。 詩篇34篇を全文で読む。
これからの歩みのために贈る詩篇
10. 詩篇23篇1-3節
「主はわたしの牧者であって、わたしには乏しいことがない。 主はわたしを緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われる。 主はわたしの魂をいきかえらせ、み名のためにわたしを正しい道に導かれる。」
羊飼いは導き、養い、いやし、暗い谷の中までともに歩みます。ダビデ自身がかつて羊飼いであり、自分が経験したことを語っています。キリスト者としての歩みを始める人に贈るのにふさわしい詩篇です。偽りの約束はせず、谷はあるけれども羊飼いがそこにおられる、と安心させてくれます。カードに手書きで写すか、洗礼を受けた方と声に出して読んでください。 詩篇23篇を全文で読む。
11. 詩篇27篇1節
「主はわたしの光、わたしの救だ、わたしはだれを恐れよう。主はわたしの命のとりでだ。わたしはだれをおじ恐れよう。」
ダビデは敵や恐れに直面しながら、それでも主は自分の光だと語ります。詩篇の終わりは、勇気をもって主を待ち望むようにとの呼びかけです。洗礼を受けたばかりの人にとって、信仰はすべての恐れを消すものではなく、恐れに答えを与えるものだと教えてくれます。最初の一節を添えてカードで贈るか、洗礼のあとの派遣の祈りの中で読んでください。 詩篇27篇を全文で読む。
12. 詩篇16篇11節
「あなたはいのちの道をわたしに示される。あなたの前には満ちあふれる喜びがあり、あなたの右には、とこしえにもろもろの楽しみがある。」
ダビデは神のもとに身を寄せ、自分の幸いは神にあると宣言します。11節は、いのちの道と、神の前にある喜びを語っています。道の始まりである洗礼の結びとして美しい言葉です。これからの歩みへの祝福として読み、洗礼を受けた方には聖書の中で、いつも目に入る場所に置くよう勧めてください。 詩篇16篇を全文で読む。
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よくある質問
洗礼式ではどの詩篇を読めばよいですか。
詩篇51篇と32篇は赦しと清め、40篇は新しい命、116篇は公の場での感謝を語ります。洗礼を受ける方の歩みに合うものを選び、水に入る前か直後に声に出して読んでください。三つの詩篇を急いで読むよりも、一つをていねいに読むほうが心に残ります。
洗礼の証しに使う詩篇は、どのように選べばよいですか。
自分の歩みを振り返り、神が何をしてくださったのかを考えてみてください。赦してくださったのか、立ち上がらせてくださったのか、安心させてくださったのか。その言葉を持つ詩篇を選びます。たとえば、立ち上がらせていただいた経験には詩篇40篇を、語ることを助けてもらうには66篇を選べます。引用は一、二節にとどめ、自分にとっての意味を数文で説明してください。
洗礼のカードにはどの詩篇を書けばよいですか。
カードに収まる短い一節を選んでください。詩篇23篇1節や27篇1節はこれからの歩みへの安心を、16篇11節は喜びの展望を開きます。手書きで写し、その方のどんな変化を見てきたかを二行ほど添えて、署名してください。そのようなカードは長く大切に残ります。