はじめに
日本は世界でも有数の高齢社会であり、病気や高齢の家族を自宅で介護している人が数多くいます。夫婦が互いに介護し合う老老介護や、仕事と介護の両立に悩む人も少なくありません。毎日の世話に追われ、自分のことが後回しになり、誰にも打ち明けられないまま疲れを抱えている方もおられるでしょう。この記事は、医療や介護の方法を伝えるものではなく、介護を担う方の心にそっと寄り添うための聖書の言葉を集めたものです。口語訳から選んだこの20の言葉は、四つのテーマに分かれています。疲れのなかの力、忍耐、愛の奉仕、そして休むことと支え合いです。一日に一つだけ、ゆっくり読んでください。
疲れのなかで受ける力
1. コリント人への第二の手紙12章9節
「ところが、主が言われた、「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。」
わたしの恵みはあなたに対して十分である、わたしの力は弱いところに完全にあらわれる、と主はパウロに言われました。介護をしていると、自分の弱さや限界を痛感する日があります。しかし、その弱さの中でこそ、神の力が働くと聖書は語ります。完璧な介護者でなくてもよいのです。今日できる範囲で十分だと、神は言っておられます。 コリント人への第二の手紙12章を全部読む.
2. 詩篇68篇19節
「日々にわれらの荷を負われる主はほむべきかな。神はわれらの救である。」
日々にわれらの荷を負われる主はほむべきかな、と詩篇は歌います。介護の荷は、毎日続くものです。しかし主もまた、毎日あなたの荷を共に負ってくださいます。朝起きたとき、一日の始まりに、荷を主に渡す祈りをささげてみませんか。一人で全部抱えなくてよいことを、思い出させてくれる言葉です。 詩篇68篇を全部読む.
3. 詩篇29篇11節
「主はその民に力を与え、平安をもってその民を祝福されるであろう。」
主はその民に力を与え、平安をもってその民を祝福されるであろう、と詩篇は言います。力と平安は、神が与えてくださる二つの贈り物です。介護の合間の短い時間に、深呼吸をしながら、この言葉を口にしてみてください。力も平安も、あなたが自分で作り出す必要はなく、受け取るものです。 詩篇29篇を全部読む.
4. イザヤ書50章4節
「主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、疲れた者を言葉をもって助けることを知らせ、また朝ごとにさまし、わたしの耳をさまして、教をうけた者のように聞かせられる。」
主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、疲れた者を言葉をもって助けることを知らせてくださる、と預言者は語ります。介護を受ける方にかける一言が、大きな慰めになることがあります。うまい言葉が見つからないときは、神に知恵を求めましょう。朝ごとに、耳を開いて聞かせてくださる方がおられます。 イザヤ書50章を全部読む.
5. イザヤ書40章31節
「しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、わしのように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない。」
主を待ち望む者は新たなる力を得て、走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない、と預言者は言います。介護の日々は、マラソンのように長く続きます。体も心も疲れ切ったとき、神を待ち望むという静かな時間が、新しい力を与えてくれます。祈りの中で、少しだけ立ち止まってください。 イザヤ書40章を全部読む.
忍耐して歩む
6. ローマ人への手紙12章12節
「望みをいだいて喜び、患難に耐え、常に祈りなさい。」
望みをいだいて喜び、患難に耐え、常に祈りなさい、とパウロは勧めます。介護の中で、喜ぶことは難しい日もあります。それでも、小さな望みを見つけることができます。今日、笑顔が見られた、食事が食べられた。そんな小さなことに神の恵みを見つけ、感謝しながら、祈りを続けていきましょう。 ローマ人への手紙12章を全部読む.
7. ローマ人への手紙5章3-4節
「それだけではなく、患難をも喜んでいる。なぜなら、患難は忍耐を生み出し、 忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出すことを、知っているからである。」
患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出す、とパウロは語ります。苦しみそのものを美化する言葉ではありません。苦しみの中を歩んできた人に、神が何を育てておられるかを示す言葉です。今は見えなくても、あなたの忍耐は、神の目に無駄にならないと信じて歩みましょう。 ローマ人への手紙5章を全部読む.
8. ヘブル人への手紙10章36節
「神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。」
神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である、とヘブル人への手紙は言います。介護には、終わりの見えない日もあります。忍耐は、我慢することだけでなく、神を信じて待つことでもあります。限界を感じたら、無理に耐え続けず、周りに助けを求めてください。 ヘブル人への手紙10章を全部読む.
9. 詩篇40篇1節
「わたしは耐え忍んで主を待ち望んだ。主は耳を傾けて、わたしの叫びを聞かれた。」
わたしは耐え忍んで主を待ち望んだ、主は耳を傾けて、わたしの叫びを聞かれた、と詩人は歌います。叫びたくなるほどつらい気持ちを、神は聞いてくださいます。時には怒りや疲れ、ため息をそのまま神に向けてかまいません。心にたまった気持ちを祈りに変えることで、少しずつ軽くなっていきます。 詩篇40篇を全部読む.
10. 哀歌3章25-26節
「主はおのれを待ち望む者と、おのれを尋ね求める者にむかって恵みふかい。 主の救を静かに待ち望むことは、良いことである。」
主の救を静かに待ち望むことは、良いことである、と哀歌は語ります。介護の先行きが見えないとき、焦りや不安が募ります。しかし、静かに待ち望む時間は、決して無駄ではありません。今日の一日を、今日の分だけ、神にゆだねて過ごしましょう。明日のことは、明日、神が備えてくださいます。 哀歌3章を全部読む.
愛をもって仕える
11. マタイによる福音書25章40節
「すると、王は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』。」
最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである、とイエスは言われました。あなたが毎日している食事の世話や、着替えの手伝い、そばで過ごす時間は、イエスにしていることに等しいと聖書は語ります。誰にも気づかれない働きを、神は見ておられます。 マタイによる福音書25章を全部読む.
12. コリント人への第一の手紙13章4-7節
「愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。 不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。 不義を喜ばないで真理を喜ぶ。 そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。」
愛は寛容であり、愛は情深い、愛は、いらだたない、すべてを忍び、すべてを耐える、とパウロは語ります。介護の日々の中で、いらだってしまうことがあっても、自分を責めすぎないでください。完璧な愛は、人にはできません。足りない部分を、神の愛が補ってくださいます。そのことを祈りの中で受け取りましょう。 コリント人への第一の手紙13章を全部読む.
13. ペテロの第一の手紙4章10節
「あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、神のさまざまな恵みの良き管理人として、それをお互のために役立てるべきである。」
あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、お互のために役立てるべきである、とペテロは書きます。介護は、特別な賜物の用い方のひとつです。ただし、すべてを一人で担う必要はありません。家族や地域、教会の仲間、介護サービスなど、支え合うことも神から与えられた恵みです。 ペテロの第一の手紙4章を全部読む.
14. コロサイ人への手紙3章12節
「だから、あなたがたは、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者であるから、あわれみの心、慈愛、謙そん、柔和、寛容を身に着けなさい。」
あわれみの心、慈愛、謙そん、柔和、寛容を身に着けなさい、とパウロは言います。介護は、これらの心を日々必要とする働きです。しかし、これらは自分の力で作るのではなく、身に着けるものです。朝、服を着るように、神から与えられる優しさを、祈りの中で身にまとって一日を始めましょう。 コロサイ人への手紙3章を全部読む.
15. ヨハネの第一の手紙3章18節
「子たちよ。わたしたちは言葉や口先だけで愛するのではなく、行いと真実とをもって愛し合おうではないか。」
言葉や口先だけで愛するのではなく、行いと真実とをもって愛し合おう、と使徒ヨハネは言います。介護をしているあなたは、まさに行いによって愛を示しておられます。その愛は、尊く、重いものです。あなた自身も、誰かに愛され、世話をされる大切な存在であることを、忘れないでください。 ヨハネの第一の手紙3章を全部読む.
休むことと支え合い
16. 列王紀上19章7節
「主の使は再びきて、彼にさわって言った、「起きて食べなさい。道が遠くて耐えられないでしょうから」。」
起きて食べなさい、道が遠くて耐えられないでしょうから、と主の使は疲れ切ったエリヤに言いました。神は、まず食べて眠ることを命じられました。介護をしている人も、まず自分を休ませ、食事をとることが大切です。自分のための時間を取ることは、わがままではなく、神の備えです。 列王紀上19章を全部読む.
17. 伝道の書4章12節
「人がもし、そのひとりを攻め撃ったなら、ふたりで、それに当るであろう。三つよりの綱はたやすくは切れない。」
三つよりの綱はたやすくは切れない、と伝道者の書は言います。介護は、あなたと家族、そして神が三つよりの綱となって支えるものです。一人で抱え込まず、地域包括支援センターなどの相談窓口や、教会の仲間に声をかけてみてください。助けを求めることは、弱さではなく、知恵です。 伝道の書4章を全部読む.
18. マタイによる福音書11章28節
「すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。」
すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい、あなたがたを休ませてあげよう、とイエスは招かれます。この招きは、疲れ果てた人のためにあります。介護の合間に、五分でも十分でも、静かな場所で祈る時間を持ってください。イエスは、あなたを休ませるために待っておられます。 マタイによる福音書11章を全部読む.
19. 詩篇131篇2節
「かえって、乳離れしたみどりごが、その母のふところに安らかにあるように、わたしはわが魂を静め、かつ安らかにしました。わが魂は乳離れしたみどりごのように、安らかです。」
わたしはわが魂を静め、かつ安らかにしました、乳離れしたみどりごのように安らかです、と詩人は歌います。心が騒がしいとき、魂を静める時間を意識的に持つことは大切です。介護をしている人も、自分の魂を静かにしてください。神のふところで、赤ちゃんのように安らぐイメージを、思い描いてみましょう。 詩篇131篇を全部読む.
20. 詩篇121篇3-4節
「主はあなたの足の動かされるのをゆるされない。あなたを守る者はまどろむことがない。 見よ、イスラエルを守る者は まどろむこともなく、眠ることもない。」
あなたを守る者はまどろむことがない、と詩篇は語ります。夜中の介護で眠れない夜があっても、神は決して眠ることなく、あなたと、あなたが世話をしている方を守っておられます。夜、起きなければならないときには、この言葉を思い出してください。神は、あなたの代わりに見守っておられます。 詩篇121篇を全部読む.
あわせて読みたい
よくある質問
介護で疲れたとき、読むのにふさわしい聖書の言葉は何ですか。
マタイによる福音書11章28節の、重荷を負う者はわたしのもとに来なさいという言葉や、詩篇68篇19節の、日々にわれらの荷を負われる主という言葉がよく読まれます。一度に多くを読まず、一つだけを選んでゆっくり味わってください。
介護で怒りやいらだちを感じる自分を責めてしまいます。
そのような気持ちは、介護を続けてきた人が持つ自然な感情です。詩篇には怒りや嘆きを神に注ぎ出す祈りが多くあります。正直な気持ちを神に告げ、必要なときは地域包括支援センターや身近な人に相談してください。
教会は介護している人をどう支えられますか。
祈りの支えや、訪問、食事の差し入れ、礼拝への送迎などを行う教会があります。遠慮せず、牧師や教会の仲間に、今の状況を話してみてください。医療や介護の判断は、専門の方や相談窓口にご相談ください。